安藤達朗 の変更点

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安藤達朗(あんどう たつろう)は、元駿台予備学校日本史科講師。元日本史科主任。2002年没。

*経歴 [#we324c5f]
-1935年、台湾生まれ。
-鹿児島県出身。
--戦後、鹿児島に引き揚げる。
-鹿児島県甲南高等学校((現・鹿児島県立甲南高等学校))卒業。
-東京大学文学部国史学科卒業。
-東京大学大学院人文科学研究科修士課程(比較文学比較文化専攻)修了。
--修士論文「日本人の論理構造−総合的歴史観への試み」(1965年度)

*授業 [#lc4ad510]
-師の講義では、個々の史実を因果関係によって結びつけ、その総体を一つの歴史の流れとして示すという歴史の考え方を学ぶことができる。
-歴史を、政治・外交・経済・社会・文化に分けて考える、という態度を教えてくれる。
-鹿児島訛りで、かつ吃音だったらしく、授業自体は聞き取りづらかったそう。
--聞き取れるくらいになるまで慣れるのに一学期分は必要な人もいた。
-非常に考えられたレイアウトの板書で、授業が聞き取れなくてもノートを見返せば十分であった。
--黒板を四段に分割し、同時並行で書いて行くというものだったそう。よくまとめられている代わりに板書量が多く、生徒はノートを取るので必死だった。
--ゆえに字も小さく、後ろの方からは全く見えなかった。当時の教室には%%数百人%%300〜450人の生徒が詰め込まれていたこともあり、教室の三分の二は常時オペラグラスだったそう(多田圭太朗師談)。
-毎回スリッパで授業に登壇していた。
-「よ~うするにっ」が口癖。
*担当授業 [#g7433a0c]
**通期 [#pe02933b]
**夏期講習 [#m1077eef]
-日本史近現代
**冬期講習 [#uec5545a]
**直前講習 [#j5509c2a]
*人物 [#v41a40b1]
-元日本史科主任教授。
-『''大学への日本史''』(研文書院、1973年)の著者として校外生にも有名であった。
--同書は、当時の東大・一橋大受験生に絶大な人気があった。
--研文書院は、元々、[[東京大学学生文化指導会]](文指)の出版部門であったので、師も世界史の大岡俊明師同様、文指で受験指導していたのかもしれない(未確認)。

-高校時代から非常に優秀で、教師にも意見していたという。
-学部で日本史学を、大学院で哲学を学ばれた。
-新谷師により、樺美智子さんを背負って逃げたという武勇伝が語られたが、おそらくは新谷師のホラ話に違いない。
--樺美智子さんと東大文学部国史学研究室で同僚だったのは金本正之師である。

-新人講師は必ず師の授業を参観するという慣習があった。
--野島博之師も新人講師時代、師の授業を参観した。

-''時代区分論'%について生涯考え続けていた。
-''時代区分論''について生涯考え続けていた。
--社会的変動によって、あるいは社会全体の思潮によって、時代区分の設定がいかに恣意的に設定されてきたかという点を明らかにしていけば、たとえば発展段階論的な歴史観のもつ制約性を明らかにできるという考えがあった。
--「学問は科学でなければならず、科学とは客観的なものだ」という考え方自体がヨーロッパ近代によってもたらされた観念である
--あくまでも一貫して、「時代区分論」という折り目正しい方向から、歴史学の再生を心から願ってやまなかった。(野島、2002)((野島博之(2002)「希求をやめない魂――安藤先生が教えてくれたこと――」, 『駿台フォーラム』第20号, 2002.))

-歴史を学ぶ営為を以下のように記している。
--『社会に生きる我々は、自覚的であろうとなかろうと、娯楽や文化の一つのジャンルとして、歴史に対してかなり主観的なアプローチをしている。アプローチの基準を一言でいえば、「面白いから」、あるいは「興味を惹かれるから」ということであり、多くの場合、過去の歴史は、歴史上の人物に自己を投影させるという営為をつうじて「未来への橋渡し」をしてくれることになる。ということはつまり、一見、面白さと興味を媒介にした、身勝手な自己投影願望を歴史叙述によって満足させようとする人々の姿勢は、実際のところ、過去のなかに未来をみつめるという点で大変ポジティブな性格を秘めている』(駿台フォーラムより)

-師の代表作の一つである『''日本史論述問題演習''』(駿台文庫、1982年)には、当時の師作成の校内試験・公開模試が収められている%%ので、安藤師マニアは必携である%%。

-逝去後、日本史科を代表して野島師が追悼文を寄稿した。
*著書 [#eb866ca8]
**学習参考書 [#g85571ed]
-『合格日本史のまとめ』(安藤達朗 著/東大日本史研究会 編 研文書院、1972年9月)
-『大学への日本史』(研文書院、1973年12月)
--駿台のテキストとリンクしていたわけではないが、書いてあることは、安藤師の講義内容とほとんど同じだった。
--佐藤優氏の企画で、リニューアル復刊されているが、%%教え子でもない佐藤のせいで%%重厚さが失われている。

-『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世【教養編】』(安藤達朗 著/佐藤優 企画/山岸良二 監修 東洋経済新報社)
-『いっきに学び直す日本史 近代・現代【実用編】』(安藤達朗 著/佐藤優 企画/山岸良二 監修 東洋経済新報社)

-『大学への日本史問題集』(研文書院、1979年)

-『駿台予備学校副読本 必修 日本史 問題精選(駿台受験叢書)』(駿台日本史科 編 駿台文庫、1981年6月20日)
-『必修 日本史 問題精選(駿台受験叢書)』(安藤達朗・注連本直哉 共著 駿台文庫、1984年)
-『必修 日本史 問題精選〈改訂版〉(駿台受験叢書)』(安藤達朗・注連本直哉 共著 駿台文庫、1985年11月)
-『必修 日本史B 問題精選(駿台受験叢書)』(安藤達朗・注連本直哉 共著 駿台文庫、1996年5月14日(改訂新版))
--「問題精選シリーズ」は、1991〜1994年に「センター試験短期攻略問題集シリーズ」((現「短期攻略 センター~共通テストシリーズ」))としてリニューアルされたが、「日本史 問題精選」はリニューアル後も生き残った。

-『大学入試 日本史論述問題演習(駿台受験叢書)』(駿台文庫、1982年12月)
--安藤師作成の、当時の校内試験・公開模試が収められている。
--絶版後、一度再版され、再び絶版。

-『日本史講義シリーズ(駿台レクチャー叢書~駿台レクチャーシリーズ)』(駿台文庫、)
--1日本史の基礎知識
--2時代の特徴と展開
--3政治史の整理法
--4思想史・文化史
--5近現代史
---第2巻以外は絶版%%で、マニアの蒐集熱を煽っている%%。

-『日本史講義 時代の特徴と展開(駿台レクチャー叢書〜駿台レクチャーシリーズ〜駿台受験シリーズ)』(駿台文庫、1994年9月10日)
--元々は、『駿台レクチャー叢書〜駿台レクチャーシリーズ 日本史講義シリーズ』1〜5の第2巻。
--論述対策の定番。
--塚原哲也師も勧めている。
--和田秀樹氏は自分が紹介して東大受験生に浸透したように言っているが、それ以前から人気があった。

-『大学入試 必ずワカる 日本史の学習法(駿台ブックス)』(駿台文庫、1987年10月)
**論文 [#l3556f72]

-安藤達朗(1965), 修士論文「日本人の論理構造−総合的歴史観への試み」, 1965年度, 東京大学.

-安藤達朗「時代区分をめぐって-歴史観の転換のために-」, 『駿台フォーラム』第16号, .
-安藤達朗(2002)「時代区分を考えるために」(未完), 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .
--遺稿。
*参考文献 [#aa20ac3e]
-野島博之(2002)「希求をやめない魂――安藤先生が教えてくれたこと――」, 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .