太庸吉

Sun, 25 Jul 2021 15:13:50 JST (1218d)
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太庸吉(ふとり ようきち)は、駿台予備学校英語科講師河合塾英語科講師

経歴 Edit

  • 成蹊大学経済学部卒業。
    • 専攻はマックス・ウェーバー。

授業 Edit

  • 語順のままに読んでいき(スラッシュリーディング)、下線部訳のところは精読も使うというハイブリッドな授業。
  • 「表現リレー」「ツヨイ文」「ヨワイ文」「ツヨイパラグラフ」「ヨワイパラグラフ」といった考え方を使って文章を分析する。
    • 「表現リレー」とは、文章中で同意表現が形をかえてくりかえされることをさし、太師は同意表現が繰り返される様子を数パターンに類型化して、読解の際に利用していくスタイルをとっている。
      • 「表現リレー」という考え方は、「情報構造」「新情報・旧情報」という文法理論に裏付けされている。
      • 文章中で同意表現が微妙に表現を変えて移行して様子を、陸上競技のバトンを引き継ぐようなリレーになぞらえて「表現リレー」と名づけている。
      • 代々木ゼミナール時代に、「表現リレー」という言葉がふと己の口から出てきたらしく、ここから歴史は始まったらしい。
    • 「ツヨイ文」「ヨワイ文」という言葉を使って、大事な文はどれかを見極めてゆく。
      • 上記の「表現リレー」や、ディコースマーカーなどに注目して大事な文とそうでない文を意識してよんでいく。その際、大事な文をツヨイ文、あまり大事でない文をヨワイ文といっている。
      • たとえば、「A for example B とあったらAが(作者の言いたい事だから)ツヨイ文」「mayに△、butに△。but以下が(作者の主張で)ツヨイ」といったかんじで使う。
    • さらに、「ツヨイパラグラフ」「ヨワイパラグラフ」という言葉を使って、文章全体の論旨を把握してゆく。
      • パラグラフリーディングの考え方(1段落のなかに主張は1つだけ)に則って文章の各段落の主張を簡潔に整理していった後に、段落間のつながりを考えていく。
      • 各パラグラフの趣旨を文にみたてて、文と文の関係を考えるように、パラグラフ間の関係をみいだすことで、文章全体の論旨・骨格を把握してゆく。
      • その際、文と文の間に大事な文とそうでない文があるように、段落と段落の間にもより重要な段落とあまり重要ではない段落があり、それを太師は「ツヨイパラグラフ」「ヨワイパラグラフ」と名づけている。
      • パラグラフリーディングの手法もとりいれた論旨の把握方法といえるだろう。
  • とにかく私の教え方は邪道ですとおっしゃっていた。
  • 構文分析も、駿台式(伊藤和夫流)とは少し趣の違うもので、独特の癖がある。
    • 構文分析は記号を使用して行う。PとM2がよく出てくる(師の授業が初めての人だと混乱するかも)
      • Vを取る際、イディオム(動詞句)の形になっていると、そこをまとめてP(Phrase)ととる。
      • 実際、チョムスキーの生成文法では名詞句や動詞句(後続に続く単語を包括する場合も)を[NP],<VP>というように表記していく。
      • 形容詞句をM1、副詞句をM2でとる
  • 構文よりも長文読解向きの講師という声もある。
  • 英語構文Sの前身のひとつであるCHOICE EXERCISESを担当していたことから、英語構文Sの担当が続いている
    • 構文にも触れるが、どちらかというと読解の授業というべき授業内容で、テキストは早めに終わらせ、要約問題、パラグラフ整序問題など補充の読解問題を約10セットも扱う。
    • 師の授業は構文のテキストよりも、補充問題や講習の読解講座などで真価を発揮する。文法は得意だけど長文になると点数が取れなくなる、という人には救世主となる可能性が高いという声もある。
  • 本業が翻訳家だけあって、訳が流麗である。
  • 授業進度はかなり早い。
    • 非常に早口であり、雑談(英語以外の話)は授業開始時プリントを配布するときの「えー皆さん。こんにちは。(その日の天候の話題一言)体調どうですか?」以外せず、かつ板書もほとんどしないので、50分間とにかく話をききメモを取り続けなくてはならないような印象の授業。授業進度はかなり早い。
    • (一文一文、単語ひとつにこだわって精緻に読解していくのではなく)ポイントや要点・概要だけ説明することがあり、そのため高速で授業を展開することができる。
    • 「第1に第2に・・・」などの場合分けや、「そして」、「また」、「したがって」などの言葉をはさんで論理的に授業を展開していくが、数学で言えば途中式をはぶいたような説明が多く、上級者向けの授業のように感じられたとの声も。
    • 直前講習の「読解問題解法テクニック」(お茶の水校)は、非常に授業が速いため、6コマ(300分)にも関わらず、テキストには13題の長文が収録されていたこともある。
  • 雑談はほぼない。
    • 雑談が少ないのは、駿台の50分授業によるもので、90分授業の河合塾での授業ではそれなりに雑談を挟む。
    • 後期中盤の授業で1回だけ、冒頭にオススメの本を紹介される。
  • 板書は少しだけ。
    • プリントを使う。なおプリントは癖のある字による手書きで筆記体。
    • 授業の要点はほぼプリントにまとめられている。癖字とはいえ、よめないことはない。
    • プリントでは「注目」という言葉が頻出する。ポイント・要点の意味。
    • ある生徒から「プリントの字が読みにくい」という指摘を受けた際、師はペン習字を習いに行ったらしい(T師談)。
    • 配布するプリントの字は小学生と言われてもわからない程度に整然としている。
    • かつては板書中心で、その量は甚大であり、チョークの色を使い分けて説明していた。
  • 質問・添削にも答えてくれる。
    • 添削は結構厳密にして下さる。
    • 何回か行くと、志望校や模試の成績を聞かれ、それについてアドバイスをされたりもする。
    • 終了時は毎回「頑張ってね」と言われる。
    • ただし、学生のことはあまり覚えない。

担当授業 Edit

通期

  • 英語構文HA Part1/英語構文発展HA 1号館-LI,LJ,LK
  • 英文読解H 1号館-LP
 

春期講習

出講無し

 
  • 長文読解問題解体講座ーNew Readingを通してー お茶の水校
 

冬期講習

  • 長文読解問題解体講座(完成編)-New Readingを通して- お茶の水校
 

直前講習

直前Ⅰ期

出講なし

直前Ⅱ期
  • 読解問題解法テクニック お茶の水校
 

担当授業(過去) Edit

  • 駿台が主だった頃は、お茶の水校(1号館、3号館、8号館)、四谷校(閉校)、新宿校(閉校)、池袋校、立川校、八王子校(閉校)にも出講していた。
  • 1993年度に京都校に週一日、出講して大人気だった。
    • 京都校生徒アンケート1位。
    • 冬期講習京都校限定のオリジナル講座『長文読解法』が2講座とも締め切りになった。
  • 以前は、冬期講習の一橋大英語、夏・冬の京大解釈、春の東大英語も駿台で担当していた。特に、一橋大英語は夏・直前の佐藤治雄師との豪華コンビで開講していた。

通期 Edit

 代ゼミから駿台に移籍した1992年度に、お茶の水校(3号館)の東大理系スーパーと高3の『東大英語研究』を、お茶の水校の私大文系ファインコース(選抜コースでは一番下)の『SELECT EXERCISES』を担当していた。
 年度によって、お茶の水の京大コース(8号館時代?)や新宿校等では『CHOICE EXERCISES』を担当していた。

  • 市谷校舎では例年、SA〜SDの「英語構文S」を担当していた。
    • 2019年度より市谷校舎への出講をやめ、それに伴い新しく出講する増田悟師が受け持ってきた1号館LG,LJ,LK,LLの構文の授業を受け持つこととなった。構文をあまり取らない師であったため、市谷校舎の学力状況を考慮に入れた配置換えかもしれない。
    • 英語構文Sの前身のひとつであるCHOICE EXERCISESを担当していたことから、英語構文Sの担当が続いている
    • 市谷校舎のSC・SDクラスは師が構文、齋藤英之師が英語入試問題研究NM担当だが、某師は「逆の方がお互いの良さが出ると思うけどな」と呟いていらっしゃった。このことについてヒデがネタにしていた。
  • 東大英語研究
    • お茶の水3号館・東大理系スーパー 1992年度
    • お茶の水3号館・高3 1992年度
  • SELECT EXERCISES
    • お茶の水校・私大文系ファインコース 1992年度
    • 新宿校 東工大コース 1995年度
    • 不明 1997年度
  • CHOICE EXERCISES
    • お茶の水5号館・一橋大コース
    • お茶の水8号館・京大コース
    • 新宿校 東大文系スーパー、東大理系スーパー、早慶大文系スーパー 1993年度
    • 八王子校?
  • 英語構文S パートⅡ
    • 京都校・難関国公立大文系セレクト 1993年度
  • 英語総合問題A-I
  • 英語研究Ⅰ
    • 京都校・難関国公立大文系セレクト 1993年度
  • センター英語
    • 京都校・難関国公立大文系セレクト 1993年度

講習 Edit

  • 東大英語≪春期講習
    • お茶の水校
  • 基本英解《夏期講習
    • お茶の水校(1992年度)
  • 京大英語(英文解釈)《冬期講習
  • 長文読解法≪冬期講習
    • 京都校限定のオリジナル講座(1993年度)。
    • 2講座設置された。

特設単科講座 Edit

  • 英文を読む―精読から速読への旅路―
  • 英文読解へのアプローチ―ミクロの視点とマクロの視点を通して―
    • お茶の水校・八王子校
    • 1994年度から2007年度までお茶の水校と八王子校(2003?年度まで)にて通年の特設単科をもっていた。
      • 下線部和訳問題による構文分析の際にきをつけるポイントの確認、パラグラフリーディングと情報構造に基づく読解の実践、設問の解き方の紹介と実践、などで構成される週2コマの授業だった。
      • 2007年度最終講では、テキスト終了後、初めて太師に関する話がなされ、話終了後教室からは自然と受講者全員が拍手をし、年間講座が終わった。

高校生クラス Edit

  • 高3スーパー英語・大意要約
    • お茶の水校 1996年度
      • 高校生クラスには珍しい、実質、オリジナル講座。

人物 Edit

  • 翻訳家。茶人、詩人としての顔も持つ。
    • 「翻訳家とは儲からない商売ですよ」とこぼされていた。
  • 代々木ゼミナール人気講師
  • 高橋善昭師の後任として二年間英語科主任講師を務める。副主任は水野進師(1997~98年度)。
  • 受験英語業界におけるベテラン。
    • 代々木ゼミナール時代に既に「傷だらけの予備校遍歴」と自らおっしゃっており、当時からさらに駿台、河合塾、東進が加わった。
    • 代ゼミの仲本師が、「若かりし日に憧れ、尊敬し、教え方を参考にして真似した先生」の1人として太師をあげている。
  • 四大予備校全てで東大クラスを担当していた。
  • 代々木ゼミナールでは、衛星講座(サテライン)初期に担当した講師の一人。
  • 駿台では移籍組の外様にも関わらず、駿台2年目の1993年度に出向先の京都校で大人気を博し、3年目の1994年度からは関東でもオリジナル講座を持った。
  • もっとも、現在では駿台生からの知名度は低い。
    • 通期での担当は市谷校舎のみの出講であり、他校舎での知名度は低い。
    • 市谷校舎も2019年度から出講しなくなり、増田悟師が後任となった。
  • 体調を崩しやすく補講をすることが多い。
    • 2008年度の後期通常講義において4回休み、代講3回、且つ補講ですら代講を立てるという荒業をなさった(そして市谷の生徒に「フトリのゴメンネプリント」なるプリントが配られた)。
    • 高齢なので、仕方ないともいえる。
  • 駿台では第一線を退いているが、河合塾では季節講習の『東大英語』を担当している(2020年度現在)。
  • 毎回水の入ったコップを持ってくる。
    • 代々木ゼミナール時代はカップにココアのこともあった。
    • なおコップには蓋が付いている。代ゼミで広く行われている慣習である。
    • 多くの講師にネタにされている。大島師が喉の調子が悪く、紙コップに水を入れて持ってきた際、「別に太先生を馬鹿にしている訳じゃないんだけどね。」とおっしゃっていた。
      山口紹師も風邪をひいている時に水を飲みながら授業をやっており、その際に「こういう時は太さんの真似をさせて頂こうと思いまして」とおっしゃっていた。
    • 大島保彦師曰く「本人は水とか言ってるけど、実はお酒なんじゃないの笑」
  • すこし癖のある喋り方で授業する。
    • 森下師のような普通に人としゃべるような・語り掛けるような喋り方ではなく、演説調の授業で、くわえてなまりといえばいいのかすこし癖のある口調で授業する。
      • かっこいいという生徒も時折いる。
    • 口癖は「表現リレー」「文尾の分詞構文」(→言い方がやや独特)「mayに△、butに△」(→大島師がネタにするのは主にコレ)
    • また以上のことから大島師から「表現リレーおじさん」と呼ばれている。
  • 「情報構造」という文法の理論を利用した読解方法のパイオニアの一人。
  • かつては、英作文の例文暗記に、高梨健作先生著の『英語の構文150』(美誠社)を勧めていた。
  • 座右の銘は「氷のような情熱」。
  • 猪瀬直樹氏に似ているという声も。
    • 猪瀬氏よりはすこし老けている。
    • 5代目三遊亭圓楽氏に似ていると言う人もいる。
  • 竹中太郎師は代ゼミ時代からの旧友である。
  • いわゆるアナログ人間で、自宅の電話が黒電話らしい(大島師談)。
    • 以前は質問に来た学生に気軽に自宅の電話番号を教えていた。
  • プロ野球ファンで、代ゼミ時代の1991年に大量の「週刊ベースボール」のバックナンバーを学生に譲ったことがある。
  • 珍しい姓で、父親は一文字姓の多い鹿児島県出身である。
    • 学生時代、出席の時、「た」と呼ばれたことがある(講義中の雑談より)。
  • M市在住で、代ゼミ時代は立川校、駿台では八王子校に、例年、準地元として出講していた。
    • 現在、メインである河合塾でも立川校に準地元として出講している。

著書 Edit

学習参考書 Edit

  • 『英文精読へのアプローチ―ミクロとマクロの視点から』(太庸吉 著 研究社、2009年10月23日)