教養部 のバックアップ(No.5)


 

教養部 Edit

教養部は、学部1-2年次に配置される教養課程(一般教育)を担当する学内組織である。学部と同様に、教養部に所属する専任教授によって構成される「教授会」である『教養部教授会』が置かれる。ここで、教養部の教員採用からカリキュラムの作成まで、各種の意思決定が行われる。学部に準じた独立性と、意思決定の権限を有するため、学内外で学部とほぼ同等の扱いを受ける。上にあげた部局表では、国内に存在する全ての「学部」に3桁の番号が割り振られているが、一番はじめとなる「001番」は「教養部」である。
1994年以降、教養部を廃止する大学が増え、かわって学部が4年制(6年制)一貫教育を行うようになった。旧教養部が行ってきた教養教育は大幅に縮減され、共通教育科目・外国語科目・健康スポーツ科目などに改められた。一方で、専門教育の半年から1年程度の前倒しが行われるカリキュラム改正が相次いだ。
また、学部の入試問題は、各学部に所属する教員ではなく、教養部に所属する教員により作成されるケースが多く、学部入試問題の作成の任を負うという重要な役割を担ってきた。一方で教養部は作成せず文学部・理学部などの教員が関連する科目の作問・採点を作成していた大学もあった(大阪大学など)。
しかし、「90年代の教養部廃止により、入試問題の作成が困難となっている」との指摘が[7]、大学側からなされるなど、「大学改革」の名の下に進められた、『教養部の解体』による弊害が、近年になって顕在化している[要出典''']。現在は旧教養部担当教員と学部教員が関連する科目を協働で作問・採点を行っている大学が多い。
2018年現在、国立大学で教養部を設置しているのは東京医科歯科大学のみである。

ただし、現在においても東京大学は教養学部で、北海道大学は総合教育部で、教養教育が行われている。

教養課程 Edit

教養課程(きょうようかてい)とは、大学(学部)で専攻にとらわれず、広く深く学術の基礎を学び人間性を涵養する課程であり、専門課程(せんもんかてい)とは、大学(学部または大学院)で特定の専門分野を学ぶ課程。

従前の大学設置基準には、一般教育科目、外国語科目、保健体育科目、基礎教育科目、専門科目の5種が設定されており(基礎教育科目は必ずしも必修ではない)、大学はこの5種に属する授業科目を設定すればよかった。

専門課程とは専門科目の課程であり、教養課程とは専門科目以外の課程のことである。

また1960年代後半になると、大学によっては専門科目以外の教育を担当する教養部という組織を設置し、ここに入学後の学生を所属させ、必要単位を充足すると学部へ進む、という形をとったが、この形式をとった場合の、教養部在籍の段階のことも教養課程と呼ぶことがある。

教養課程には、多くの場合、前期の1〜2年間が充てられる。豊かかつ柔軟な人間性の涵養と、学問の世界に踏み込むにあたり広く深い見識を身に付けることで、専門課程や大学院等で学ぶための基本的素養・能力を養うことを目的とする。内容は主に語学(主に外国語、場合によって国語 / 日本語も含む)、論文の書き方やディスカッション手法、自然科学・人文科学・社会科学の各分野の概論や他分野との学際も兼ねた啓蒙的な導入、体育科目、大学での教育研究に必要な知識・技能の基礎演習など、多岐に渡っている。自然科学系統の科目では各種の実験が、人文科学と社会科学ではフィールドワークなどが課せられるケースも多い。また、最近では学部を問わずコンピュータの使い方を学ぶカリキュラムが組まれていることが多い。また、理系の学部では教養課程や共通教育に専門基礎科目が含まれ、学部の履修に必要な数学(主に線形代数学・解析学・確率統計学)・物理学(古典力学・電磁気学など)・化学(一般化学など)・生物学(生化学・分子生物学・細胞生物学など)の基礎科目を履修する。

教養課程は本来こうした素養・能力を養成する目的であったが、多くの学生は興味のない科目を無理矢理取得させられる課程であると認識していた。そのため、現在は基準が改正され、廃止されている。

ただし、現在においても東京大学は教養学部で、北海道大学は総合教育部で、教養教育が行われている。

それ以外の大学でも共通教育などの名前に代わって教養教育は行われている。しかしながら、大幅な教養課程の科目が削減されたため、学生が幅広い教養を得る機会が失われた。また、多くの大学では教養教育は教養部の担当から、全学教員の担当に変えられた。

専門課程には、多くの場合、後期の2〜3年間(6年制の学部では4〜5年間)が充てられる。学部や学科における専攻分野を学び、ほとんどの授業が専門教育科目に充てられる。ゼミナール、卒業研究、卒業論文といった大学における専門教育の基幹となる科目も専門課程に設けられている。教養部の廃止に伴い、専門課程の開始が前倒しにされた。

大学設置基準の大綱化 Edit

1974年に広島大学が教養部を総合科学部へ改組したのを皮切りに、大学設置基準が大綱化した1991年(平成3年)以降、教養部所属や教養課程担当の教員を他の学部へ移動したり、独立した教養部を4年制の学部へ改組したりする事例が増加した。これによって昨今では、教養課程と専門課程をはっきりと区分している大学が減る傾向にある。代わって、一般教育科目と専門教育科目を在学中にいつでも履修できるようにした、いわゆるくさび形教育課程(四年一貫もしくは六年一貫教育課程とも言う)が増えつつある[2]。

例えば、文学関係の教員は文学部へ、憲法を担当していた教員は法学部へ、物理や化学を担当する教員は理学部へ移籍した。また、言語文化学部、総合人間学部などのような独立した部署に改組した。多くの大学では旧教養課程を共通教育などといった名称に変え、必要な単位数を縮減した上で存続させている。そして、専門科目の履修を半年から1年程度前倒しで行われるようになった。これに伴い研究室配属などの時期も4年次から3年次へと前倒しになる大学・学部が増えた。

教養部の後身 Edit

広島大学 総合科学部

 

京都大学 総合人間学部

大阪大学 全学共通教育科目

名古屋大学 情報文化学部
北海道大学 総合教育部

九州大学 全学共通教育

一橋大学 大学院言語社会研究科、全学共通教育科目

神戸大学 国際文化学部→国際人間科学部