医学部 のバックアップ(No.36)


医学部

  • 大学において、医学に関する分野について研究・学習する学部。
  • 主に大学受験界では医学部医学科を指す。当記事でも主に医学科について取り上げる。
  • 概要
  • 大学入試
    • センター試験
    • 二次試験(一般入試)
      • 面接
      • 女性・多浪生差別
    • 再受験
    • 推薦入試・AO入試
    • 地域枠
  • 転部・編入試験・海外
    • 傍系進学・転部
      • 傍系進学
      • 転部
    • 編入試験
      • 編入学
      • 学士編入
    • 海外医学部
  • 序列・学閥

概要 Edit

  • 医師の養成を目的とし、6年制を取る。
    • 医学科以外の学科としては主に以下の2学科が挙げられる。ともに通常の大学と同じく4年制大学である。これらの多くの大学は大学併設の医療技術短期大学部を医学部に併合して作られた。
      • 看護学科:看護師・保健師を養成(看護師の延長上に助産師があるので、そちらも間接的に含まれる。)
      • 保健学科:臨床放射線技師、臨床検査技師、作業療法士、理学療法士、臨床工学技士、救急救命士等を養成

入試 Edit

  • 医学部医学科は医師免許を獲得でき、職業に直結しているという利点があり、他学部に比べて少人数であるので、他学部学科に比べて受験者レベルも倍率も格段に高い。
  • 現役生、一浪、二浪生だけでなく多浪生、再受験生(仮面浪人のみならず、大卒後の再受験含む)も多数受験する。
  • そのため、駿台も既卒生向けに医学部専用のコース(いわゆるMクラス)を設けている。
  • 一般私立大学医学部の学費(6年間で約2000万~5000万円)に比べて国公立大学(一部私立大学、防衛医科大学校も)は学費が格段に安い(6年間で約350万円)ため(防衛医大に至っては卒業後防衛医大病院で勤務すれば学費タダ+給料ゲット、自治医大も卒業後地元の病院で働けば学費タダ)、一層競争率もレベルも高い。

センター試験 Edit

  • 特にセンター試験では86%以上の得点率が求められるため、厳しい戦いとなる。
    • 9割以上というのは、よほど易化した年度を除きガセである。
  • 多くの近畿の医学部では例年センターボーダー(センター試験での合格率5割ライン)が86%以上である。84%は確実に取っておきたい。
  • ただし、ボーダーが85%前後の医学部もそこそこはあるので、90%取れなくても心配は不要である。
  • まれにセンター試験80%程度(中には70%台)の得点率で東京医科歯科大、京都府立医大、滋賀医大、中には東大理三、阪大医学部等に逆転合格する物もいる。
    • もちろん、二次試験で相当な高得点を取る必要がある。
    • そのため、センター試験の得点率が低かった合格者ほど称賛されるが、センター逃げ切り型が圧倒的有利なのに変わりはない。
  • 昔の九州大、神戸大、大阪市立大等、問題が標準的な大学は、二次試験でも高得点の争いになるため、二次での逆転は厳しい。
    • 他学部と問題が共通な医学部、特に地方医学部は二次で差がつきにくいため、なおさらセンター勝負になる。

二次試験(一般選抜) Edit

  • 試験科目は英語・数学・理科2科目が主流である。
    • センターと合わせて、理科3科目を課す大学もあった。
  • 東大、京大、名大など国語を課す大学もある。
  • 信州大学や宮崎大学など、試験科目が英語・数学のみなどの変則型を採る大学もある。
  • 一部の大学では論文を課している。
    • 後期日程だと大学の多くが論文を課す。
    • 医系論文は、通常の論文と違って、自分の主張を述べるものではなく、対策方法が特殊なため参考書や講座(医系論文など)できちんと対策しておくべきである。
  • 面接は全ての大学が行う(「面接」の項目を参照)。
  • 前期日程で多く人数を取る大学がほとんどある。
    • 医学部では前期日程(+推薦、AO、地域枠)しか人数を取らない大学も多い。
  • 山梨大学、岐阜大学、奈良県立医科大学など後期日程を中心に(あるいは後期のみ)人数を取る大学もある。
    • これらの大学は倍率も他の医学部に比べて格段に高くなることが多い。

面接 Edit

  • 全ての医学部で面接を課すようになっため、面接対策は非常に重要。
    • 基本的に明らかに不適性な者を落とすだけのはずだが、後期や一部私立などでは点数を大きく課すところもあるため注意。
    • 慶應の面接で「東大の肩慣らし、模試のつもりです。」と言った受験生が落ちたことがある。
  • 国公立大でも「学科試験の成績の如何にかかわらず不合格となることがある」ので要注意。
    • 京都大学医学部中退者に「どうせ、ウチに来ても辞めるんだろ」と恫喝して落としたり、合格者平均点を10.3点も上回る点を取っていた50歳代の再受験の女性を落としたりした悪名高いG大学、筆記試験で高得点だった高卒認定の現役女子受験生を面接0点で落としたA大学など。
    • 宮崎大学で得点は合格者平均を上回った再受験生が面接落ちになったことがある。
    • 2018年度入試において、年齢差別で悪名高いG大学は合格者平均点より8.89点高い成績を取った地元現役高校生男子を面接で不合格にしている。
    • 2021年度の東京大学(理科三類)入試において、得点(総合成績)が合格者最低点を34点超え、合格者平均点をも超えているにも関わらず面接で落とされた受験生(現役生)がいる。
    • 2023年度の東京大学(理科三類)入試において、得点(総合成績)が合格者平均点(第2次学力試験成績284点、総合得点386.0556点、合格者最低点357.6667点)にも関わらず面接に遅刻して落とされた受験生(一浪、文一休学再受験)がいる。
  • 駿台では通期では対策講座を取っていないが、夏期講習や直前講習医学部面接対策なる講座を開設している。
    • 個人的に面接対策を行って下さるクラス担任も一部いらっしゃる。

女性・年齢差別 Edit

  • 2018年の東京医科大学の裏口入学発覚をきっかけに同大学を捜査したところ、東京医科大学の入試での女性・多浪生の一律減点が取り沙汰された。
  • 文部科学省は2018年12月14日、医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の最終まとめを公表した。81大学のうち、昭和大学や聖マリアンナ医科大学など10大学の医学部医学科入試について「不適切」と指摘した。
  • 訪問調査を実施し、「不適切である可能性の高い事案」として指摘した後に、各大学が自ら不適切な事案であったことを認め、自主的な公表が行われたものを「不適切な事案」、文部科学省と大学との間で見解の相違があり、大学が不適切な事案であることを認めていない事案を「不適切である可能性の高い事案」とした。
  • 不適切な事案では、特定受験者の優遇・成績順番飛ばしがあったとして、岩手医科大学昭和大学東京医科大学日本大学の4大学を指摘。性別や高校卒業年からの経過年数、地域などの属性を理由とした一律的な取扱いの差異があったとして、神戸大学順天堂大学昭和大学東京医科大学北里大学金沢医科大学福岡大学の7大学を指摘した。
  • 不適切である可能性の高い事案では、聖マリアンナ医科大学が男・女と現役・浪人で最高点、最低点ともに大きな差がついていると指摘した。文部科学省は聖マリアンナ医科大学に対して、第三者委員会などを設置して文部科学省が指摘した事項について調査を行うよう指導していくという。
  • そのほか、「不適切な事案」「不適切である可能性の高い事案」であるとまでは言えないものの、入学者選抜の公正性に「疑惑を招きかねない事案」もあった。また、入学者選抜の公正確保に資すると思われる好事例も見られた。
  • なお、駿台や河合塾等の大手予備校は合格者データから女性、多浪生への差別が行われていることを前々から把握していたらしく、東京医科大学側に改善を求めていたが、要求は全て無視されていたようだ。

再受験 Edit

  • 建前上、年齢や経歴による差別はないことになってはいるが実在し、裁判沙汰になった国立大学も存在する。
  • ただし、再受験生と言っても実質二浪以下なら、普通の受験生と変わらないし、高年齢であっても理系の大学院修了者はむしろ歓迎される場合もある。
    • ゆえに、「再受験・高年齢の合格者が存在するから、その大学は差別はない」ということには一概にはならない。
  • ネットで流布されている「寛容度ランキング」は、実態とは当たらずとも遠からずといった程度なので、あくまでも参考程度にしよう。

推薦入試・AO入試 Edit

  • 医学部においても推薦入試、AO入試を課す大学が多い。
    • 一部大学では浪人生も対象にしているので、既卒生はそちらを狙うのもあり。
  • 入試学力が劣っていても合格が狙えるため、論文や面接の得意な人は利用しやすい。

地域枠 Edit

  • 不足が指摘されている地域医療に人員を補充するための枠。
    • 卒後の地域医療を義務付けられる反面、奨学金が貰え、さらに合格しやすいという利点がある。
    • かなり多少、学力が劣っていても合格が狙えるため、地域医療への貢献を厭わない人は利用しやすい。
    • 学費援助と引き換えの卒後9年間ロックを安いと見るか、高いと見るか。
  • 近年は「地域枠の足抜け」の問題もクローズアップされている。
    • 入試の面接の際、受験生が「地域医療に貢献します」とアピールしたにもかかわらず、卒業後は指定された地域で働く約束を反故にし、貰った奨学金も一括返金して東京の病院に就職するケースが増えている。
    • その対策として厚生労働省は「地域枠医師を採用した都会の病院は補助金カット」という荒業に出た。実際、2019年には東京医大が「茨城県地域枠医師を大学病院本院(東京都新宿区)で採用した」ことが発覚して、補助金を大幅に減額された。これにより、地域枠出身医師は東京都内のメジャー病院に就職することが厳しくなった。

診療科枠 Edit

  • 川崎医科大学()
  • 和歌山県立医科大学(2023年度)
    • 県民医療枠B(産科枠)3名程度
      • 和歌山県内病院勤務の県民医療枠も兼ねる。
    • 県民医療枠C(不足診療科枠)2名程度(一般選抜)
  • 横浜市立大学
    • 神奈川県指定診療科枠
  • 大阪公立大学
    • 大阪府指定医療枠

転部・編入試験・海外 Edit

 医学部は極めてバイパスコースが少ないが、存在しないわけではない。

傍系進学・転部 Edit

傍系進学 Edit

  • 東京大学教養学部前期課程(理科二類10名・理科三類97名の指定科類枠以外の全科類枠約4名→2名(全科類第一段階で1人しか枠がなく、第二段階の1枠は面接重視で理二有利の傾向))、北海道大学総合教育部、金沢大学国際基幹教育院総合教育部からは医学部医学科(金沢大学は医薬保健学域医学類)への進学が可能である。
    • 医進、あるいは医転と呼ばれている。
    • いずれも超難関で再受験の方が楽とも言われる。

転部 Edit

  • 岩手医科大学では、歯学部のみ、2年次進級の際に医学部への転部が認められている。
  • 北里大学、昭和大学、千葉大学は学則で転部を認めている。
    • 昭和大学では、学則第33条第2項で、「本学の医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の第1学年の学生で相互の学部へ転部を希望する者があるときは、選考の上、学年初めに限り、第2学年に転部入学を許可することがある。」と明記している。
    • また、千葉大学では、学則第25条第1項で、「本学の他の学部に転部又は所属学部の他の学科に転科を志願する者については、欠員のある場合に限り、別に定めるところにより、選考のうえ、相当年次に転部又は転科を許可することがある。」と定めている。
    • しかし、「許可することがある」に留めてある点に注意する必要があり、医学部医学科で欠員が生じた場合などに適用されるくらいなので、昭和大や千葉大の他学部に入学して転学を目指すのは非現実的である。

編入試験 Edit

編入学 Edit

  • 一部の大学では、学士号取得を編入試験の受験条件に加えていない(東海大学、筑波大学、群馬大学、大阪大学、他私立大など)。
  • 一般編入学とは異なる、いわゆる単位認定による飛び級もある。
    • 杏林大学、藤田医科大学は、大学卒業者で所定の単位を満たした一般入試合格者は、入学前に2年次編入が認められることがある。
  • 飛び級はないが、名古屋大学や千葉大学は、他大学で取った単位を単位認定している。

学士編入 Edit

  • 一部の大学では2年次あるいは3年次への学士編入試験が行われている。
  • 学士編入学方式は、1975年度に大阪大学において開始され、1998年度から2003年度にかけて急速に増加した。
  • 一部の大学では、学士号取得を編入試験の受験条件に加えていない。一般編入学という。(東海大学、筑波大学、群馬大学、大阪大学、他私立大など)
  • 募集はかなり少人数で、試験内容も各大学でまちまちである。
  • 東海大学、群馬大学など、一部の大学では文系でも合格可能な入試科目になっている。
    • あくまで合格可能であって、一部のビジネス誌が喧伝するような抜け道ではない。
    • 島津有理子元NHKアナウンサー(東京大学理科二類→経済学部卒業)は2018年に東海大学医学部に編入学している。
    • 元横浜DeNAベイスターズの寺田光輝氏(三重大学教育学部中退、筑波大学体育専門学群卒業)は2021年6月末に東海大学の医学部編入試験に合格した。
  • 東京大学医学部医学科における学士入学制度の詳細は非公開であるが、昭和43年度(1968年)に学士入学制度が存在したことが確認された。筆記試験の過去問は、昭和49年度以降のものが保存されている。
    • 現在は、同学部健康総合科学科卒業者にのみ学士編入試験を実施している。
    • が、1名のみの超難関である。
      • 募集人員は若干名となっており、合格者0の年もある。
      • 平成24年度から29年度卒業生で2名。
      • 令和1年度卒業生0名。
  • 試験日程が重ならない限り、何校でも併願できる。
    • 例年、全国行脚する受験生は河合塾KALS生を中心に、ほぼ固定メンバーとなるらしい。
  • 合格者はやはり東大・京大の理系出身者が多く、合格は非常に難しい。
    • 学士編入を目指して何浪もすると、編入の時間的メリットがなくなるので、一般入試を目指した方が早いとも言われる。 
  • 医学部学士編入試験の受験指導は、河合塾KALSの寡占状態である。
  • 岩手医科大学は歯学部生を対象とした編入学試験がある。
    • 2010年3月より学士編入学試験(3年編入)が開始された。ただし、出願が歯学部出身者に限られている。
      • 歯学部を既に卒業し歯科医師免許を有している者、または、卒業見込みの者を対象とした3年次編入学試験。
    • 歯科医師国家試験に不合格となった場合は合格を取消される。
    • また、卒業後、岩手医科大学附属病院および関連病院に通算6年以上(臨床研修期間2年含む)勤務し、岩手県の地域医療に従事することを確約する事が必要。岩手県による医学生奨学金制度への申込みも可能。
    • 2019年度(平成31年度)より、定員が7名→6名となった。さらに、2020年度(令和2年度)より4名となった。
    • 2018年度(平成30年度)に起きた東京医科大学問題を皮切りに不正入試が暴かれたが、当大学も学士編入において同門生を優先的に合格させていたことが発覚した。

学士編入学者選抜

学士編入学者選抜(第3学年4月編入)
募集人員
若干名

出願資格
次の要件をすべて満たしている者

歯学部を卒業した者、および卒業見込みの者
歯科医師免許を取得または取得見込みの者
卒業後、本学附属病院および本学関連病院に通算6年以上(臨床研修期間2年含む)勤務し、岩手県の地域医療に従事することを確約できる者
※ただし、歯科医師国家試験に不合格となった場合は合格を取り消します。

海外医学部 Edit

  • 海外の医学部を卒業した場合、国家試験を受験する前に厚生労働省の審査を受ける必要がある。
    • この審査では修学年数や成績、大学の教育水準などを見られる。
    • 成績も考慮されるため一概には言えないが、国内に事務局などの窓口を設けて学生を募集している海外の医学部を卒業した場合、基本的には審査を通過している。
  • 入学試験の科目数が少なく、国によっては日本より入学難易度が低い。
  • 日本より比較的学費が安い。
    • 学費の安さを求めて海外の大学の医学部に進学する学生も少なくない。
    • 先進国の医学部の学費は日本とさほど変わらないが、東欧や中国などでは生活費を考慮しても日本の私立大学より安く済む。

序列・学閥 Edit

  • かつてほど顕著でもないが医学部には序列構造(格、ランク)があり、高ランクほど医療界への影響力や研究成果が高い。
  • 一概には言えないが、国公立大は、一般的には 旧帝大旧医大旧医専(新八+旧設公立)>新設(新々)の順に高ランクである。
    • 東京医科歯科大、横浜市大、神戸大、大阪公大など、地の利で旧帝大並みの難易度を誇るが、入試難易度と格は必ずしも一致するわけではないので要注意。
  • 私大では、慶医・慈恵・日医の私大医御三家が別格である。
    • 国公立大医学部を蹴って進学する者もいる(特に慶医)。 
    • 御三家(旧医大)>旧設(旧医専)>新設
  • これも昔と比べてだいぶ影響力を失ったが、学閥による影響が大きいところでもある。
    • 例えば就職する際の病院選択などで学閥や出身大学系統の病院(いわゆるジッツ)だと就職しやすかったり、逆に対立している学閥出身の学生は冷遇されたりする。